本人利益を守る! 障害年金における社会的治癒という考え方

  • 2015/05/27

請求者の利益を守る考え方「社会的治癒」

障害年金制度には、障害者本人(請求者)の利益保護のために、社会的治癒という考え方があります。
社会的治癒と言うもの自体の理解は難しくないのですが、実際的に年金を請求する上で、社会的治癒というものを証明することは難しく、適用が困難(必ずしも適用される状況ではない)という形になっています。

ここでは社会的治癒というもの自体の説明を行いますが、該当の可能性のある方、請求を実際に行われる方はご自身でされる前に、専門の社労士の方などに相談されることも視野に入れておいたほうが宜しいと思います。

なぜなら、一度障害年金を請求する上で、初診日を確定させ、請求手続きを行ったものについて、不支給と判断をくだされた場合、その行政側の主張を覆させるのは非常に困難だからです。

社会的治癒の概要

社会的治癒とは、医学的な治癒とは異なる、社会保障制度上の考え方です。
前の傷病から数年経過して再発した場合(医学的には同じ傷病)でも、それまで特段の療養もなく通常の日常生活が送れていた場合、後の傷病の初診日を障害年金の初診日とする考え方です。
医学的には同じ傷病であっても、前の傷病と後の傷病と分けて傷病を取り扱うことになります。
ただし、「社会的治癒」として扱うのは、この時「前の病気」と「後の病気」は医学的に同じ傷病、または因果関係ある傷病の場合になります。

社会的治癒説明

次になぜこのようなことをするかということを説明します。
障害年金の請求においては、疾病に関する初診日が請求先に年金請求の種類(厚生年金、国民年金は請求日でなく、初診日にどちらに加入していたかに拠る)や請求期限などのすべての基準になります。
そのため、別の傷病として取り扱うことで初診日が変わってくるので、結果的に保険料納付要件を満たし請求が可能となったり、請求する年金制度(国民、厚生)が変わることで、受けられる給付額が変わったりします。
そのため、障害年金請求においては、本人が有利な制度を選択したりする上で、社会的治癒はとても重要な考え方です。

社会的治癒の成立要件

社会的治癒は前後の病気が医学的に同一の傷病、または因果関係があるときに適用を検討するものです。

これはどういうことかというと、医師が同じ病気と診断したとしても、障害年金上では(請求者に有利になるなら)そう取り扱わない(選択肢を取ることができる)のが社会的治癒、ということです。

社会的治癒が成立するための要件は、以下の2点に当てはまることとされています。

  1. 症状が消滅して社会復帰(就労など)や通常の日常生活が可能となったこと
  2. 治療投薬を必要とせず、外見上治癒した期間が一定程度継続すること

※1については維持・経過観察的な治療が継続していても成立を妨げません。

ここで注意しておきたい点として、社会的治癒は法律や規定として定義されたものではなく、あくまで現場の取扱として運用されているものということです。
そのため、治癒した期間がどの程度を指すのか、省令等で明確に決められているということもありません。
実際の認定においても事例ごとに検討されていて、ここが非常に請求者にとって悩ましいところでもあります。

認定に必要となる、治癒していた期間については病気によっても異なり、精神疾患では特に長く求められる傾向にあります(5年など)。

社会的治癒は自発的に請求しないとダメ!

社会的治癒は、何も主張しないでいても認められる、という性質のものではありません。
先に書きましたが、本人がより有利な状況を選択するために請求を行うものなので、行政の担当窓口で自動的に判断できる類のものでもありませんし、医学的には同一の傷病だったりするので診断書等を読むことで単純に判断されるものでもありません。

本人にとって有利な状況を選ぶとは、たとえば、以下のケースなどがあります。

傷病 初診日年金の種類 請求経験
前の傷病 国民年金(障害基礎年金) あり

国民年金、後の傷病が厚生年金加入中の傷病であったとして、年金事務所等で相談した際に初診日が「国民年金(障害基礎年金)」と判断され、実際に障害基礎年金を請求したとします。

この場合は、仮にその間に社会的治癒と見られる期間があったとしても、あくまで請求したのは障害基礎年金ですので、そのまま認定を受けることになります。

この時に、仮に社会保険労務士に相談をした場合に、その社会保険労務士が適切な知識を持っていれば、その期間が社会的治癒として主張できるか、またその主張をすべきか。するなら行政担当者に対してどのように証明していくかということを判断すると思います。
その結果、より有利な、給付金額の大きい給付を受けられることも実際にあります。

社会的治癒を主張せずにそのまま請求してしまうと、知らない間に不利な制度で請求している、ということもあり得るのが、障害年金制度の難しく怖いところです。

健康保険の傷病手当金について

健康保険法の傷病手当金についても同様に社会的治癒の考え方があります。
傷病手当金は同一の傷病で一度しか受給できないのが原則です。しかし、社会的治癒が成立した場合は二度目の受給もありえます。同時に考えるといいでしょう。


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この記事の著者

ケアラー編集部 山本

ケアラー編集部 山本

ケアラー編集部の山本です。
主に障害者に対する支援制度の紹介と企業の障害者雇用の取り組み方などについて、書いています。

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