【完全版】成年後見人制度とは

  • 2015/05/14

成年後見制度は判断能力に問題がある人の権利を守るための制度です。
障害者にかぎらず、広く利用することが出来る制度ですが、精神障害者、知的障害者の子供を持つ親が、親亡き後の子供の生活と権利を守るために利用を検討するケースも多いです。しかし権利をしっかりと保護し、不必要な束縛を本人に与えないために制度自体はかなり複雑で、検討しておくべきこともたくさんあります。この記事を読めば成年後見制度についてひと通りのことが分かるようになることを目指して書きました。
かなりボリュームのある記事になっていますが、是非興味のあるところからでも読んでください。

成年後見制度とは

判断能力に問題のある成人の財産や権利を守るための制度です。成人の、と言うのは未成年は自動的に保護されているからです。
ここでいう保護とは、判断能力(法律上では事理を弁識する能力と言います)に問題のある人に対して、悪意のある契約(例えば家屋等の財産を不当に安く買い叩くなど)を何者かが結ばせた時に、成年後見人はその権限において契約を取消することで、被後見人を守るようなことを言います。
また、一人の被後見人に対し、複数人の後見人を設定することも可能です。

判断能力に問題のある人とは、知的障害者や精神障害者の他、認知症を患っている人、脳への外傷等で判断能力に問題がある人も含まれており、ここでいう判断能力とは契約内容を理解したり、財産の管理能力のことを言います。

以前は禁治産制度という制度がありましたが、利用できる対象者の制限が厳しく、そのあたりが改善されています。

法定後見制度と任意後見制度

成年後見制度は法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。

法定後見制度 申立人(本人、配偶者、4親等以内の親族、検察官、市町村長など)が管轄の家庭裁判所に申し立てを行うと、家庭裁判所が審判と後見人の選定を行います
任意後見制度 判断能力があるうちに、将来的に判断能力が不十分になった時に、自分で選んだ人(任意後見受任者)に成年後見人となってもらうよう、事前に契約を結ぶための制度です。公正証書を作成する必要があります。
そして将来問題が生じた際には、本人・配偶者・4親等以内の親族・任意後見受任者の内の誰かが家庭裁判所に申し立てて保護や支援を開始します。
またこの時、家庭裁判所は後見監督人を選出するので、この後見監督人の監督下で成年後見人は保護や支援を行います。

任意後見制度は、将来的に親が死亡した際の精神障害者や知的障害者(ともに児童含む)の将来の保護のために利用することができます。

ここでは両方を取り扱いますが、どちらかと言えば任意後見制度に重きをおいて解説します。

後見制度のメリットとデメリット

本人にとってのメリットとデメリット

メリット デメリット
被後見人
  • 本人の権利等を守ることができる
  • 契約の相手方も安心して取引できる
  • 職業の制限がある(会社の役員、医師、医療法人の役員、国家公務員、校長または教頭、弁護士、行政書士などの各種士業)
  • 選挙権および被選挙権を失う
  • 印鑑登録が抹消される
  • ほとんどの法律行為を代理人が代行することになる
被保佐人
  • 職業の制限がある(会社の役員、医師、医療法人の役員、国家公務員、校長または教頭、弁護士、行政書士などの各種士業)
  • 重要な法律行為は保佐人の同意が必要になる
被補助人
  • 家庭裁判所で認められた行為については補助人の同意が必要になる

親族にとってのデメリット

  • 親族が後見人になった場合、家庭裁判所への報告が面倒。同時に現金出納帳などの記録が必要になります。
  • 本人の財産使途に制限がかかります。本人以外のために使うことは原則不可となります。例えば子が親の後見人となった場合、相続税対策で生前贈与などを行うことに制限がかかります。
  • 本人と親族の後見人が共同相続人として遺産分割協議を行う場合、利益相反となるのでうまくいかない事がある。本人の相続分は法定相続分は法律上確保されるので、柔軟に節税や相続を考えられなくなる。
  • 第三者が後見人となった場合、親族は後見人を選べない。
  • 第三者が後見人となった場合、特に専門職の場合は報酬がどうしても発生する。

障害者の子を持つ親は(法定)成年後見制度を利用すべきか

  • 親などが本人(例:子)の権利擁護及び侵害の予防の必要を感じているなら、利用価値は高いです。
  • 親が子の後見人となりたい場合は、手続きは早いほうがスムースに終わる確率が高いです。遺産相続などが絡み、本人と利益相反関係になっている場合、家庭裁判所が親族を後見人に選任しない場合があります。
  • 親亡き後、必要があれば結局事後対応的にではあっても、支援者が専門家等を通じて誰か後見人が付くように手続きをすることになります。

後見人の種類別メリットとデメリット

任意後見契約を結ぶ相手には特別な資格などは不要です。当事者が合意すれば誰とでも任意後見契約を結ぶことができます。
その原則を理解した上で、家庭裁判所が成年後見人を選定するときの相手やその特徴を整理したいと思います。任意後見契約の相手方を選択するときにも役立つでしょう。

また、法定後見人の選定においては、任意後見人と違い家庭裁判所がこれを選任します。申立人が、候補者を挙げて審判してもらうことはできますが、裁判所が不適切と判断した場合は選ばれません。また異議申立てを行うこともできません。成年後見人の選任にあたっては、後見制度の理解、身上配慮、本人意思尊重、権利擁護の視点、他人性の認識、事務処理能力の有無などを適正として判断します。

種類 メリット デメリット
親族後見人 親族としての関わりが深い場合は身上配慮に期待できる 他人性の認識に欠ける場合があり、財産の混同などが生じる場合がある
専門職後見人 弁護士、会計士、司法書士、社会福祉士など各分野の専門知識があり、法的な課題点などがある場合に期待できる 頻繁な面談は期待できない
法人後見人 後見人が死亡することはない。
また、本人や関係者への他害行為が予想される場合に、担当者は個人情報を伏せて活動できる。組織的な対応も可能。
暴力団関係者などはこのタイプを利用することが多い
必ずしも個人に比べて法人の寿命が長いとは限らない
市民後見人 一般市民による社会貢献・ボランティア後見人。原則週1回の密な面談で本人の意思を汲み取り、積極的な権利擁護を期待できる 困難事案には選ばれない

法定後見制度のしくみ

成年後見制度はその対象となる人間の判断能力に応じて、3つの制度が用意されています。それが、成年後見・保佐・補助の3つです。
いずれの場合でも、被保護者の法律行為(契約等をいいます)を取り消したりするために行動しますが、被保護者本人による、嗜好品や日常品(食料など)の購入等についての売買契約については取り消しはできません。

成年後見 (契約等に係る)判断能力が事実上ないと判断された場合(事理を弁識する能力を欠く)一般的な取引について、代理人として代わりに行います。成年被後見人が単独で行った取引については取り消すことができます
保佐 判断能力に大きな問題があると判断された場合(事理を弁識する能力が著しく不十分である)一定の行為に対して成年保佐人が同意することで成立します。一定の行為に関して成年保佐人の同意がない場合、取引を取り消すことができます。

一定の行為

  1. 元本の領収・利用
  2. 借財・保証
  3. 動産・その他重要な財産の処分
  4. 原告としての訴訟行為
  5. 贈与・和解・仲裁契約
  6. 相続の承認・放棄又は遺産分割
  7. 贈与・遺贈の拒絶 負担付贈与・遺贈の受諾
  8. 新築・改築・増築・大修繕
  9. 長期の賃貸借
  10. 家裁の審判のあった行為

成年被後見人との違いとしては、「代理」が不要なことです。 本人のした法律行為が有効か無効かは保佐人が決めます。 同意があれば有効ですし、同意がなければ保佐人は取引を取り消すことができます。ただし、同意が必要なのは上記の一定の行為に限ります。 一定行為以外であれば、成年被保佐人であっても、自らの判断で行うことができ、保佐人は取り消せません。

補助 判断能力に問題があると判断された場合(事理を弁識する能力が不十分である)保佐と基本的には同じです。違いは、被補助人が単独で行えない(補助人の同意を必要とする)行為が、上記の一定の行為の1~9であることです。
また、1~9の全てというわけでもなく、どの項目について補助人に同意権を与えるかは家庭裁判所の審判で決まります。

被保護者に対する処置

法律上の能力を制限します。これにより、被保護者は一人で契約を行えなかったり、同意を必要とするようになります。
これについては、人間は自由意志を持ち、自由契約を行う権利があるという法の原則からは外れてしまうのですが、悪意ある契約(詐欺やそれに類する行為)から判断能力に問題のある本人を保護するための必要措置とされています。

契約の取消とは

契約をなかったことにするものには、法律上「解除、取消、無効」の三種類があります。成年後見人のケースにとって重要な取消について説明させていただきます。
契約の取消とは、「契約締結の時点に遡って(遡及するといいます)契約自体が最初からなかったことにする」というものを言います。ここで非常に大切なのは、契約を取り消さない限りは契約自体は有効なので、被保佐人が単独で契約を結んだ場合、保佐人は契約を取り消してもいいし、取り消さなくてもいいという自由があります。ちなみに取り消した場合は、最初から契約自体がなかったことになるので、それまでに金銭等のやりとりがあった場合は全て返還されます(実務上は揉めやすいケースではありますが)。なお、取消には時効があり、追認可能時から5年、行為時からは20年です。もちろん同意権を使って同意している場合は取り消せません。

普段の生活で一般的に契約をなかったことにするものは「解除」で、取消との違いは、解除の場合契約があった事実は覆らず、解除時点から契約が無くなるという点です。その際、それまでに発生していた金銭等のやりとりが返還されるかどうかは法的には規定はありません。

保佐人の同意を要する行為

上記の一定の行為ですが、詳しくは民法第13条第1項が該当します。

成年後見人の義務

成年後見人には善管注意義務という義務があります。善良な管理者の注意という、成年後見人を含む委任契約にはよく出てくる単語ですが、ちょっとわかりにくいかもしれません。しかしこれはかなり重い責任が伴う義務を、財産等の管理者として要求されているものです。

また、成年後見人における善管注意義務をより具体的にしたものとして、身上配慮義務というものも、成年後見人の義務にあります。これは成年後見人としての事務を行う際においては、本人の心身の状態と生活の状態を配慮しなくてはいけないというものです。またこの配慮に際しては、可能な限り本人の意志を尊重する必要があります。

不法行為の監督者責任というものもあります。これは本人が他人に損害を与えた場合に、後見人が監督義務を怠っていた場合、責任を負う必要が出てくるものです。

最後に家庭裁判所への報告義務といって、財産状況を定期的に報告する義務もあります。

成年後見人が上記の義務を怠った時、家庭裁判所は成年後見監督人や親族などからの請求もしくは、その職権によって成年後見人を解任できます。
また場合によっては対象の成年後見人の行為を、不法行為として損害賠償を求めたり、背任罪や横領罪といった刑事責任を問うケースもあります。それだけ成年後見人は重い義務を負っているとも言えるのです。

法定後見の申し立て

成年後見制度(保佐、補助を含む)を利用するには、申立人が被後見者となる本人の居住している地域の家庭裁判所に、審判開始の申し立てを行う必要があります。

申立を行うことができる人間

審判開始の請求を行うことができる人間は以下のとおりです。

本人 本人がすでに成年被後見人や被保佐人、被補助人の場合で、他の制度に移行する場合でも本人による申し立てができる。
ただし本人の判断能力が回復している場合に限る
配偶者
4親等以内の親族 親、子、孫、祖父母、兄弟姉妹、叔父叔母、甥、姪、いとこなど
未成年後見人
未成年後見監督人
本人が未成年の場合
成年後見人
成年後見監督人
補助人、保佐人および監督人含む
検察官
任意後見受任者
任意後見人
任意後見監督人
本人が任意後見契約を締結している場合
市町村長 本人の福祉を守るために特に必要があると判断できるとき。認知症の高齢者や、精神障害者や知的障害者で判断能力に問題があるにもかかわらず、身寄りがないことで成年後見人制度の審判を開始できていない人を保護するための制度

申立にかかる費用

申立に必要な印紙代 800~2400円
後見登記に必要な印紙代 2600円
連絡用の切手代 3000~5000円
医師の診断書 3000~10000円
戸籍謄本(全部事項)の取得費 450円/通

その他細々とした費用を含め、各数字は概ねですが、総計として概ね2~3万円がかかります。また、弁護士や司法書士に依頼する場合は別途報酬が発生します。

また、明らかにその必要がない場合を除いて、本人の精神の状況について医師その他適当な者に鑑定をしてもらう必要があります。 ただし実際に鑑定がおこなわれるのは全体の1割程度。鑑定費用は事案にもよりますがおよそ5~10万円程度です。また、これらの費用は原則として申立人が負担します。本人財産は使用できません。

申立に必要な書類

参考までに原則として必要な書類も掲載しておきます。

  • 申立書(書式は家庭裁判所に行けばもらえます)
  • 申立人の戸籍謄本1通(本人以外が申し立てるとき)
  • 本人の戸籍謄本、戸籍の附票、登記事項証明書、診断書各1通
  • 成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書各1通
  • 申立書付票
  • 本人に関する報告書(用意できれば)

後見契約にかかる費用

任意後見制度の場合は、判断能力がある内に費用の相談ができますが、そうでない法定後見制度の場合の費用はどうなっているのでしょうか。任意後見契約をする際の参考価格にもなると思いますので、説明させていただきます。

成年後見人等に対する報酬は、成年後見人の申し立てがあった際に家庭裁判所で行う審判で決定されます。具体的な報酬基準については法律で取り決めはなく、裁判官が対象期間中の後見等の事務内容などを総合考慮して、その裁量によって事案に応じた適正妥当と思われる金額を算定します。

専門職(弁護士等)が成年後見人に選任された場合において、これまでに審判例や実例を踏まえた標準的報酬額の目安として、大阪家庭裁判所が出している数字を基に説明します。

基本報酬

通常の後見事務を行った場合の報酬を基本報酬といいます。
基本的に管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額。保険は含めません)が高い場合は管理もその額に応じて複雑、煩雑になる場合が多いので、以下の様な体系が目安として示されています。

管理財産額 成年後見人 成年後見監督人
1000万以下 月額2万円 月額1~2万円
1000万~5000万 月額3~4万円
5000万超 月額5~6万円 月額2万5千円~3万円

※ 保佐人、補助人が継続的な財産管理を行う場合は、成年後見人に準じます。
※ 保佐監督人、補助監督人、任意後見監督人は成年後見監督人に準じます。

後見人の報酬は、給料のように毎月当然にもらえるわけではありません。

後見人の報酬は絶対的なものではない

後見事務に対する報酬は、家庭裁判所に後見人報酬の申請をして決定されます。後見人報酬の申請は毎月ではなく、半年に1回や年に1回などある程度まとめて、後見人からの申請を基に支払われます。

しかしひとつ抑えておきたいのは、後見人報酬の申請は義務ではないということです。親族が後見人となっている場合(親族後見人)、後見人報酬を申請しないことはよくあります。また弁護士や司法書士が後見人となる場合であったとしても、後見人報酬だけで生計を立てている人(後見業務を専業としている人)はまずいません。どの専門家も通常、様々な仕事の中の一つとして後見人の仕事を行っています。

付加報酬

成年後見人等は、後見事務などをする上で被後見人の身上を監護します。この際に通常の事務の範囲を超えて、特別困難な事情(大変な仕事)があった場合には付加報酬として追加の報酬を支払います。

通常の場合 基本報酬の50%の範囲内で相当額(相場とされる額)
報酬付与申立事情説明書に記載のあるような場合 相当額(相場とされる額)を付与することがあります

報酬付与申立事情説明書には以下のようなケースが記載されています。

  • 訴訟・非訟・家事審判
  • 調停・訴訟外の示談
  • 遺産分割協議
  • 保険金請求
  • 不動産の処分・管理

複数成年後見人の場合

上記2つの報酬を、分担している事務の内容に応じて、適正と考えられる割合で按分します。

任意後見制度を障害を持つ子供のために使う

知的障害者や精神障害者はその親の保護を受けているのが一般的です。
この場合、親が老齢で適切な保護ができなくなるケースと、親の死後の問題があります。こういったケースに備えて任意後見制度を利用することも選択肢の一つです。知的障害者や精神障害者本人に任意後見契約を締結する能力がある場合には、本人自身で任意後見契約を締結しておき、親の老後・死後に任意後見受任者が選任の申し立てを行います。また、知的障害者や精神障害者本人が未成年の場合は、親の同意があれば任意後見契約を結ぶことができます。

ただし注意して置くべきことは、障害者本人である子供の介護などを、後見人が他人に委託する契約(準委任契約)を併せて結んでおくことです。介護自体は後見事務には含まれません。

任意後見契約が実際に使われるとき

任意後見受任者は、本人の判断能力が不十分になったと判断した場合、家庭裁判所へ任意後見監督人の選任を請求します。この請求は任意後見受任者の他、親族なども可能です。そして任意後見監督人が家庭裁判所によって選任されると、任意後見受任者は任意後見人となり、後見事務を開始します。この後見事務は任意後見契約が解除されるまで続きます。

任意後見監督人とは

家庭裁判所によって選ばれる、任意後見監督人の役割について書いておきます。任意後見監督人は以下の内容を担当します。

  • 任意後見人の事務を監督
  • 家庭裁判所に定期的な報告
  • 緊急の場合は任意後見人の事務を処理する
  • 任意後見人と本人の利害が対立する事案については本人を代表する

以上です。

任意後見契約が終了する条件とは

任意後見契約は、後見人に対して、本人が負担すべき様々な法律行為を委託する委任契約です。委任契約は民法の上では当事者双方のどちらからでも、何時でも契約を解除できるのが原則とされています。しかし任意後見契約の場合、この原則を適用してしまうと後見人が何時でも好きなときに契約を解除できてしまうので、本人保護の観点から問題があります。そのため任意後見契約に関しては、民法の原則には従わず、その解除には制限があります。

任意後見監督人を選任前の場合

公証人の認証を受けた証書によって解除することができます。公証人や立会人の下、契約当事者が記名押印等をしなくてはいけないという手続きがあり、当事者の解除に対する真意を確認することができるようになっています。

任意後見監督人が専任されたあとの場合

(通常の場合後見人は)任意後見契約を解除する正当な理由がなければ契約を解除することはできません。また、正当な理由があったとしても家庭裁判所に認められなければ契約を解除することはできません。それというのもこの時点では既に本人は判断能力が不十分な状態になっているわけなので、この段に到ってからの解除を受け付けると本人保護の観点で全く好ましくないことに加えて、本人の期待に背くことになるからです。任意後見人が無責任な契約の解除をすることができないよう、このような形となっています。

任意後見人の解任

成年後見人の義務でも書きましたが、後見事務に不正や怠慢が合ったと認められる場合、本人、親族、検察官、任意後見監督人は家庭裁判所に審判を申し立てることができます。家庭裁判所が解任の審判を下した場合、任意後見人は解任されます。

その他の場合

任意後見人、任意後見受任者、本人が死亡もしくは破産した場合は任意後見契約は終了します。

後見人制度の問題点

成年後見人制度は、その制度上、後見人に義務として課されるのは法律行為に限られます。
介護サービスの選定などは身上配慮義務の範囲内に含まれますが、具体的な介護自体(事実行為)は成年後見人の後見事務には含まれません。そのため、通常は介護の必要が生じた場合は後見人は各介護事業者に介護の委任契約を結びます。この点について、介護自体の見識が深い後見人を選定するか、もしくは後見内容を事前に相談する際においてどういった基準でサービスを選んで欲しいかという申送りが大切です。

この辺りの事実制度に関する本人希望の汲み取りや保存を制度として支援する仕組みがあればいいのですが、現状ではまだ完備されているとは言いがたいです。監督人の選任工程などと平行してこうしたことも配慮できる仕組みが必要でしょう。

後見人制度を活用する際には

前項と少し内容は重複します。うまく後見人制度を活用するためには、介護などの事実行為も含めて、事前にしっかりと希望を後見人に伝えておくことが肝要です
これは後見人の立場から言っても細かい指示があればあるほど後見事務を行いやすくなるので、重要な事なのです。

例えば後見事務を委託する場合においては、下記のようなことが考えられます。

  • 毎月○○円程度のお小遣いを与えて欲しい。
  • お年玉として年○○円程度を与えて欲しい。
  • 介護施設を利用する場合は、若干喘息気味なので自然の多い空気の良い所を優先して選んで欲しい。
  • 年に一回□□という観光名所に連れて行ってほしい。

などがありえます。こういったことは当たり前ですがお金がかかります。後見人は財産を管理する義務を負っているので、当然ですが無駄遣いは許されません。そのため、基本的にこういったことに関しては事前に申送りがないと、まじめに取り組んでいる後見人の人ほど、使ってもいいのか悩むことになります。

仕事における引継書のようなものですので、「こんなことをお願いしても仕方ないんじゃないか」などということは考えずに、まずは細々としたことまで申送りをすることが、よりよい後見事務の礎となります。

想定される疑問点

財産がなくなったらどうなるのか

本人の年金や労働所得があったとして、それらを含めても、財産が尽きることは想定の範囲内です。しかし後見人は財産管理と身上配慮義務があるので、そういった場合の生活保護の申請等は義務の範囲内です。もちろん後見事務の報酬はその中から支払う必要がありますが、逆に言えばその分後見人もしっかりと手続きをしなければいけない理由があるとも言えます。

またその場合、財産の処分等については生活保護の範疇に収まるので、例えば持ち家などを、住むよりも売却したほうが価値が高いと生活保護課が判断した場合は、売却が生じることもありえます。この辺りは当たり前ですが、通常の生活保護の場合と同等です。

成年後見人制度を使う前に

まずは遺言書作成や遺言書代用信託などの検討を先に行うことをおすすめします。
その理由は、(親の)配偶者死亡による遺産分割協議のリスクを避けるためであり、障害を持つ子の財産を確保するためでもあります。
信託は財産を分割して渡したり、財産の使途を決めることもできます。


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この記事の著者

ケアラー編集部 山本

ケアラー編集部 山本

ケアラー編集部の山本です。
主に障害者に対する支援制度の紹介と企業の障害者雇用の取り組み方などについて、書いています。

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