精神障害と行動障害のスタンダードを知る
- 2015/05/30

精神障害や行動障害の種別や、その診断について精神科医や心療内科医は、自らの知見とは別にスタンダード(基準)を参考に考えることもあります。
今日、世界には大きく2つの精神科の診断に関するスタンダードがあり、それがICD-10とDSM-5です。
この2つはどういったものなのでしょうか。
2つの基準の特徴
ICD-10とは
簡単にいえば、WHO(世界保健機関)が定めた、精神と行動の障害に関する診断の基準です。
日本では後述のDSMと並んで代表的な判断基準となっています。
また、日本がWHOの加盟国であることもあり、日本ではこちらのICD-10が基本となっています。
行政等の基準作りにおいてもICDに沿ったものとなるため、精神科医のみならず障害年金等の申請においても社労士などが参照することも多いそうです。1990年に10が策定され、現在は2007年に改定されたものが新しくなっています。
DSM-5とは
アメリカ精神医学会(APA)が定めている基準です。
最新の版となる5は2013年に同会の理事会で承認されました。日本ではICDが標準基準になっていることもあり、基準という意味では一歩劣りますが、参考にしている精神科医や論文も多いです。
ICD-10との乖離が大きくなっていっていて、アメリカの独自基準という考え方もあるとは思いますが、改定がICDより最近であることから、より昨今の事情を反映したものになっているという見方もあるでしょう。
ICD-10とDSM-5がどんなものか気になったら
いずれの本もちょっとご家庭に一冊というには程遠い専門的な書籍です。
読み込むのにはそれなりの知識も必要となります。ただその上で言うと、日本はこれらの本の邦訳の出版が遅く、DSM-5に至っては2013の改定後、1年以上が経過しています。その辺りが気になる!という人は英語版にあたってみるのもいいでしょう。大学等であれば図書館に備えているかもしれません。
Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders: Dsm-5
基準はあくまで基準
これらの本を開いてみれば分かりますが、やはり基本的に専門家を対象としたものなので、読みこなすのもそうですし、実例に当てはめるのも経験がないと難しいでしょう。また直接的な治療の指針となるものでもありません。
とは言えいずれもバックボーンのしっかりとしたものであることは疑いようがありません。
書店やネットなどで、トンデモ医療と思われるような情報に当たることもあるかと思いますが、まず医療業界の標準を知ることのほうが大切かと思い、今回はこの記事を作成させてもらいました。
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