トラブル回避。障害年金が受給できなくなるケース
- 2015/05/12

障害年金(障害基礎年金と、障害厚生年金の両方)は、基本的に障害を持つ限りは支給されます。
また、一般的に障害とは状況が固定されている(治療等を行っても病状が好転しない)ものを言うので、実際は今回説明するケースは稀だとは思いますが、直面した際には困る内容だと思うので書いておきます。
障害年金を受け取る資格が無くなる(失権する)場合
障害年金の失権は、国民年金法と厚生年金保険法に規定があります。そこから規定を整理・抜粋して紹介します。
■ 受給権者が死亡した場合
そのままです。受給の権利は障害者本人にあるので、本人の死亡とともに権利は消滅します。
■ 受給権者が、前後の障害を併合した障害の程度による年金の受給権を取得した時、従前の年金の受給権は消滅する
表現がややこしいです。要はAという障害で障害年金を受けていた方が、今回新たにBという障害を負ってしまった場合に関係があります。この時、A+Bの両方の障害を負った状態で障害等級を改めて判定し、新しく障害年金の受給権が発生します。
その時にはそれまで持っていたAのみを負っている状態での、障害等級に応じた障害年金の受給権は消滅する、ということです。
■ 障害厚生年金を受けている者が、障害等級3級(厚生年金保険法の規定に基づく)に該当しない程度の状態になり、その状態で3年が経過した時に、満65歳以上であった場合
障害厚生年金は1級から3級まで障害等級に応じた金額が支給されますが、3級に該当しない状態まで改善した場合は、改善している間「失権」ではなく「支給停止」が行われます。
65歳未満の場合は、支給停止状態がずっと続くのですが、3年以上支給停止の期間があり、受給権者が65歳になった場合、障害厚生年金を受給する権利は消滅します。
障害年金が支給停止される場合
これは上記の場合と違って、一時的な停止になるので、状況が変われば再支給が開始されます。
- 受給権者が、当該傷病について、労働基準法の規定による障害補償を受ける権利を得た時は、6年間支給を停止する
- 受給者が、障害等級に該当する程度の障害状態でなくなった時は、その間支給を停止する
- 障害厚生年金受給者が、当該障害厚生年金と同じ支給事由に基づいて、他の被用者年金各法による障害共済年金の受給権を得た場合は、その間支給を停止する
大きく言えば、障害の状態が年金受給の要件を満たさない水準まで改善した場合、障害年金の支給理由と同じ障害を理由にほかの年金支給を受ける場合(労働基準法による規定は例外的)は、障害年金を一時停止する、というものです。
法律の問題
現状の説明は、上述の通りいくつか問題はあります。
例えば65歳以降に障害年金の受給期間を失権した場合、一度失権した後にもう一度同一の障害が再発した場合は障害年金は支給されません。その他、厚生年金には障害者特例制度という、60歳以上の障害等級3級以上に該当する人に対する優遇措置があったりと、かなりルール自体が複雑です。なにせ年金の申請を行うにあたって、それを専門とする社労士による代行業が成立するぐらいなので。
とは言え現実問題としては、有利に年金制度を使うなら、ある程度の基礎知識を抑えた上で、社労士や年金センター、年金の申請支援を行う民間組織等のサポートを受ける形に落ち着いてしまうのかもしれません。
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