【体験談】拒食症の人が入院治療で行う行動療法

  • 2015/07/01

こんにちは、元摂食障害者(経歴8年)兼ライターのyukiです。
摂食障害(拒食症・過食症)の有病率は人口に対して、拒食症は約0.2%、過食症は約3%、また患者数に対しての死亡率は7%という、かなり高い割合です。また、発症から時間が経ってしまった場合、症状が慢性化・複雑化しやすく、一般的な社会復帰が難しくなる傾向があると言われています。
参考:『摂食障害ガイドライン』(監修:日本摂食障害学会)

現在、私は健常者と同じように働いたり、学校に通ったりできる状態になるまで回復しましたが、摂食障害の克服に向けて長年様々な治療法を試し、試行錯誤を繰り返しました。どんな病気も早期発見・早期治療が回復への近道です。また十人十色、個々人に合う治療法も異なります。

今回は自分の体験を元に、摂食障害の治療法の1つである入院治療のメリットとデメリット、そして当事者(私)の心の変化をお話し、入院治療を考えられている当事者・ご家族の皆様に参考にしてもらえれば幸いです。
※あくまで個人的な体験と見解ですのでご了承下さい。

拒食症患者の完治までのプロセス

拒食症の転帰

抜粋:鈴木眞理教授『摂食障害』(日本医事新報社)

拒食症になった場合、多くは下記の3パターンの回復経過を辿ります。ちなみに私は②のパターンでした。

①早期段階で発見&体重の回復
②拒食症→過食症(or過食嘔吐)→完治
③拒食症→過食期→体重の回復&完治

図を見てわかるように、最低限の体重維持は完治&社会生活をする上で必須です。というのも、人間の生理現象として、身体が飢餓状態にある場合、心理面(強迫概念、抑うつ、集中力の低下など)や行動面(無茶食い、生活リズムの乱れなど)での異常が現れやすく、食べ物のことばかり考えてしまう症状が出てきます。これを『飢餓症候群』と呼びます。適正体重に近づくにつれ、上記の異常は緩和されていきます。
そのため、拒食症患者の入院治療では体重・体調の回復を第一優先とし、その後、認知行動療法や家族療法など心理面のアプローチに移行していくケースが多いかと思われます。

入院治療で行う行動療法の経過

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私自身の場合、体重が30kg以下(身長160cm)になった段階で入院しました。

拒食症治療で有名な行動療法は、『食事のコントロール』と『行動範囲の制限』です。最低限の体重にまで回復させた上で、心理面の治療に移ります。

1.治療計画の作成

目標体重と体重を増やすまでの期間の目安を定めます。

2.摂食方法を決める

全く飲食ができない状態の人はIVH(高カロリー輸液)、固形に抵抗がある人はエンシュア(缶に入った栄養剤)を飲んでいる人もいました。私は身体に管を入れるIVHが怖かったので普通に食べることにしました。

3. 決められたカロリー量を規則正しく食べる

栄養バランスが整った食事を3食決まった時間に食べます。私の場合、1日の食事の摂取量が1200Cal→1400Cal→1600Calと200Calずつ増えていき、最終的には2400Calになり目標体重に到達しました。ただし間食は禁止。

4. 行動の制限(範囲・強度)

摂取量が増えるごとに、行動する範囲を広げていきます。私の場合、病棟内(家族のみ面会OK)→病棟外(友人との面会OK)→病院の敷地外→自宅or学校(外泊OK) という経過を歩みました。

入院治療のメリット/デメリット

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ここでは、当事者(私)が感じた感想を挙げさせてもらいます。

<メリット>

・食事と行動を強制的に管理されることで、食事と運動を自分でコントロールしなければならない!という強迫観念から逃れられる。

・ストレスの多い日常生活から離れ、心と身体を一時的に休ませることが出来る。

・正しい一人分の食事の量とバランスを知れ、生活リズムが整う。

・何かあった時に医師や看護師にすぐヘルプが出せる。

・家族が当事者に振り回されてしまっていたり、トラブルが生じている場合、一定の距離が出来ることで、お互いが現状を客観的に把握し、対応法や今後のことについて冷静に考える心のゆとりが生まれる。

<デメリット>

・医療費がかかる ※医療費が高額になる場合『高額療養費・高額介護合算療養費』制度を適用できます。

・強制的に行動を制限することで、心理面の回復がついてこない場合、かなりの精神的葛藤が生じる。

・入院されている他の患者さんに影響される場合がある。

・学校や会社に行けなくなる(休学・休職または退学・辞職)

最後に

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ここで紹介した入院治療はあくまで手段の1つです。摂食障害になった要因、その時の状況や将来のことも踏まえ、最適な治療方法をお選びください。

ただし、どの方法を選ぶにしても、社会復帰をする上で体重の回復は必須です

摂食障害の人の恐怖の対象である体重に関してですが、人間はその人にあった適正な体重が決まっているので体重は安定しますし、そこまで太りません。

食事に囚われ何もできない人生を歩みたいか、自分が望むイキイキとした人生を選ぶか。勇気ある一歩を応援しています。


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この記事の著者

kobayashi

kobayashi

摂食障害を発症し7年間長期入院をしていました。自身の経験談や障害・病気がある方の働き方に関する記事を掲載しています。

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