【障害者雇用】前編:京都・錦市場にある老舗の八百屋さん「かね松」場合

  • 2015/05/07

京都・錦市場で、創業明治拾五年 株式会社かね松老舗八百屋さんをされています。かね松さんは、障害者雇用を義務付けられている規模の企業ではありませんが、あるきっかけから実習生を受け入れ、雇用しています。今回はそんなかね松の上田欣司社長に、かね松 阪急北花田店にてインタビューをさせて頂きました。

障害者雇用のきっかけ

上田:僕、差別と言われても仕方ないですけど、障害者がいやだったんです。

私:いやとは?怖かったとかあったんですか?

上田:小学生時代に出会った子がすごく苦手だったんです。突然大声出したり、あばれたり、鼻水出ていたりして、中学生時代以降では周りに障害者がいなかったんです。

私:そんな社長が、今は・・(笑)

上田:今は人の問題と思っているんです。人はだれでも何かしら障害を持っているんですよね。手帳を持っているか、いないか?の違いです。


上田社長は、1つエピソードを話してくれました。

ある時、上田社長は知りあいから頼まれ、先代の社長にだまって実習生を受け入れました。

実習時に、実習生には30kgの米ぬかをビニール袋に10g入れる袋詰め作業をしてもらった。上田社長の場合、3つ作ったら飽きてしまうそう。

先代の社長が「この米ぬか袋詰め、だれが作った?!」と聞いてきた。

「うわー、怒られる!!」と思いながらも、実は実習生を受け入れて作業をしてもらったことを伝えたところ、先代の社長は実習生に向かって、「きみ、すごいなあ。きみの米ぬか袋でたけのこが高く売れるわ。米ぬかの袋のおかげでたけのこ売れたわ。」先代の社長はそう実習生に言ってくれた(本当はその米ぬか袋がなくても売れたかもしれないが)。米ぬかの袋は丁寧に入れられたとてもきれいな袋詰めだった。

そのことがきっかけで障害者の法定雇用義務もない八百屋さんでの障害者雇用が始まった。

 

私:今はどんな作業をしてもらっているんですか?

上田:バックヤードでのパック詰め、接客、呼び込みをしてもらっています。

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私:接客もですか?

上田:言葉がうまく出なくても、笑顔でお客様に接するように言っています。商品説明もしてもらっています。もし、お客様からクレームがきたら、そのようなお客様にはうちで買い物をして下さらなくてもいいと思っていますから、お客様には帰っていただきます(笑)

私:クレームは?

上田:ないですよ。


上田:実は今月、一人辞めてもらったことが残念です。

20歳の彼女は、1か月無断欠勤をした。やっと連絡がとれて理由を聞くと、80歳の父が認知症にかかり世話をしていたので、出勤できなかったと・・

上田:手帳を持っている彼女が、親の介護をするって、どう思いますか?

私:行政の連携ってないんですかね?

上田:高齢者である父親。障害のある娘。どちらも福祉サービスを受けられる身でありながら、なぜ、サービスの連携ができないんでしょう?もっと早く言ってくれたら…。気づいていたら、辞めさせることもなかったかもしれなかったのにすごく残念です。でも、社員になって働くということは責任が伴うこと、無断欠勤を続けることはゆるされません。


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仮面ライダーが大好きな上田社長、人生訓もライダー名言からきています。

「仮面ライダーオーズが言っているんですよ。」
「人が人を助けていいのは、自分の手が直接届くところまでなんじゃないかって。手が届くのに手を伸ばさなかったら一生後悔する。それが嫌だから、手を伸ばすんだ!」

よく障害者雇用をしている企業はありますが、雇用補助金が切れる2年間で解雇することが多くあります。障害のある人もそういうものだと「負の常識」を持っていて2年たったら解雇と思って仕事をしている人もいます。

ハローワークもそう思っている。

ハローワーク:2年経つので、そろそろ・・

上田社長はてっきり2年後も雇用し続けてくれますよね?と言ってもらえると思っていると、

ハローワーク:次の方を引き受けていただけないかと…

ハローワーク側からしたら、何年続けたではなく、何人就労できたかの方がカウントになるわけで・・「2年かけてやっといろいろとできることが増えて。仕事を任せられるようになってんのに、なんで?と思いますよ。」と上田社長。

「今までは補助金があって一人前と認められていたけど、これからは、本当の雇用になります。これからは一社会人として、その給料に見合った働きをしなくてはなりません。甘えたりさぼったりすることはできなくなります。それでもがんばれますか?」
上田社長は、そう質問をし、それでもがんばれると言う人と上田社長は雇用契約を続けることにしている。

しかし、こうとも私に言ってくれました。

上田:2年付き合うとね、特に精神の人は、調子が良い時・悪い時がよくわかるんですよ。なので、しんどい時は様子みて声掛けて、調子がいい時はスパルタでビシバシ言います。

上田:ある日、精神障害のある人の気分の浮き沈みをコントロールできないかなって思ったんですよ。僕は八百屋ですから、精神科医でも専門家でもありません。なにかないかと考えて自分の体験では、売上が落ちる時、上がる時気分が落ち込んだり、うれしくなったりする。物理的理由がある時もあります。雨が降るとか、理由がある時は改善する。理由がなくても落ちっぱなしではない、いつか上がる時がくる。また、売り上げが上がりっぱなしな時ももちろんない。気分のアップダウンをみんなと同じ目線にならないかと。みんなで、売り上げが落ちた時は『お前は悪くない。売り上げが落ちたから気分も落ち込むんだ』。みんなで共有するんです。

私:うまくいきましたか?

上田:いきましたよ。気分の浮き沈みと売り上げの浮き沈み。合わせられました(笑)。最近精神障害の等級が軽い方に移動してきて、補助がもらえなくなるんではないかと変な心配がでてきたりしています。

実習生について

上田:基本実習生は希望者全員受け入れます。受け入れ後、様子を見ていけそうだと思ったら、次は店からその人を指名します。この段階ですごいプレッシャーをかけて作業をしてもらいます。

私:どんなプレッシャーをかけるんですか?

上田:絶対できない数を「パック詰めして」と頼みます。僕だって絶対できない量です。

私:10分で100パックとか?

上田:そうそう、その時にね、絶対無理と思ってやらない子。そういう子は雇いません。できてもできなくてもひたすら頑張る子を雇うんです。


上田:福祉の人はなんか、障害のある人をはれものを扱うようにする人がいるでしょ?あれってどう思いますか?あれって支援と思いますか?本人を認めていますか?

これも私がいつも思っていることでした。『支援』と言う言葉「○○してあげる」「○○してあげたらよろこぶ」等々、なんか上から目線感がぬぐいきれないことがあります。そして、逆のパターンとして支援員さんと利用者さんがお友達感覚のコミュニケーションのとり方をする場合も。「○○(愛称)!!」と呼ぶ利用者さん。「なんや~△△ちゃん」と答える支援員さん幾度も作業所で見かけました。

上田:うちは八百屋ですから朝6時からの仕事はたくさんあります。でも、施設の職員さんは、9時半からしか連れていけない。だからこない。

上田:就労支援のジョブコーチもそう。ジョブコーチが先に来て会社の仕事を覚えてから来てくれないと、どうにもならないですよ。支援学校の生徒の実習時は、ジョブコーチに言います。「先生が店の中にいてもなにもできませんから、店内から出てもらえますか?そのかわり、お昼ご飯の時に戻って来て一緒にお昼を食べてあげてください。初めての所でひとりぼっちでお昼を食べるのは辛いですから」

私:言い方を変えると、ジョブコーチを企業の人がじゃまにするって言ってますよね。

上田&私:爆笑。

 

後編に続く(5月8日公開予定)


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この記事の著者

ふじたあきか

ふじたあきか

障がい者雇用コンサルタント事業。支援学校生徒向け就労体験支援活動や子どもの人権教育ファシリテーターをしています。

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