もし自分の子供がカミングアウトしてきたら
- 2015/07/17

先日、中日新聞に弊社の取り組みをご紹介いただきましたので、もしよろしければご覧ください(注1)。この記事に関して、様々な感想やお問い合わせをいただいているのですが、感想の中で多いのが、「家族の中にLGBT当事者がいたらどうしたらいい?」「子どもからカミングアウトを受けたらどうすればいい?」というご質問です。
前回の記事(注2)と重複をしてしまいますが、私は母親に手紙を書いてカミングアウトをしたところ、こんな言葉をかけてもらうことができて、それをきっかけに自分のことを少しずつ受け入れることができるようになりました。
「前から何となく気づいていたけど、言われてみると『やっぱりそうなんだな』と思った。でも、(現時点では法律的に同性の結婚が認められていないため)結婚しないということはずっと一緒にいてくれるのかなと安心する気持ちもあった。別に恥じることもないし、自分らしく堂々としていればいい。ピーコさんのように自分らしく生きていけばいいよ」
以前から親が気づいていたのは、同性愛に関しての情報誌などを片付け忘れて机の上に置きっ放しにしていたり、結婚についての話が出た時に「(この時にはゲイを自認していたわけではありませんが)僕は結婚しない」と話をしていたので気づいていたのだと思います。
今、思い返してみると、カミングアウトをする前から私がゲイということを受け入れようとしてくれていたんだなと感じることがありました。
*注1:中日新聞2015年6月27日夕刊
*注2:ゲイであることをカミングアウトした経験から学んだこと
LGBTを取り巻くマスメディア
たとえば、私が高校生か大学生のときに、家族で、ある芸人が男性が男性を好きになることを笑いのネタにしたコントをしていて周りの観客がそれを見て笑うという番組が放送されていました。
それを観ていた母親が、「こういうことを笑いの対象にするのはよくないことだよ」と言っていた記憶があります。今、思い返してみると、このような情報などに触れて子どもが傷つかないように最大限、配慮をしてくれていたのかなと思います。
「私の家族にはLGBT当事者がいない。自分にはあまり関係ない。」
と思われている方が多いのですが、電通の最新の調査「LGBT調査2015」では人口の 7.6%、日本の人口で考えると約900万人のLGBT当事者が存在すると考えられます。900万人とは神奈川県の人口とほぼ同じくらいの数です。
そのため、かなりの確率でご家族の中にもLGBT当事者は存在しております。
ただ、かつての私のように、家族の中にもいるのに気づいていない可能性があるということです。
「今日、テレビでLGBTのことやっていたね」
「渋谷区でパートナーシップ条例が可決されたね」
と肯定的な話をすることが、周りにいるLGBT当事者の安心感にとてもつながりますのでぜひこんなところから始めていただければと思います。
LGBTの子どもとの上手な接し方
子どもからカミングアウトをされたら、どのように受け止めたらよいのか少し混乱してしまいますよね。
「子どもは病気なんだろうか」
「子どもがこんなにも悩んでいたのに、私は何も知らなかった」
「私の育て方に問題があったのだろうか」
「なんでこんな風に産んでしまったのだろうか」
と思われる方が多いと思います。
そこで、お子さんを理解したいと思い、お子さんに色々な質問を投げかけたくなる気持ちはよくわかります。でも、質問をすればするほど、お子さんを追い込んでしまう可能性があります。
カミングアウトをする際には、きっとお子さんはとてもいろいろな心配をしていると思います。
「受け入れてもらえなかったらどうしよう」
「親を傷つけてしまうかな」
「家族関係が壊れてしまったらどうしよう」
「(大切な)家族から差別をされたらどうしよう」
また、それまでにも、自分のセクシャリティについて周りにすごく気を遣って、なかなか自己肯定感を持てずに生きてきたと思いますので、いきなりたくさんの質問をされると「受け入れてもらえないんだ…」と追い詰められてしまう可能性もあります。
そのため、ぜひ身近にいる存在として、温かく受け入れてあげてほしいと思います。
そして、カミングアウトはゴールではありません。「本当の自分でもっと会話をしたい」「ありのままの自分で向かい合いたい」そのような想いで関係をつくるスタートがカミングアウトです。
受け入れてもらっていることを感じることができると、今まで思っていたこと、感じたことをお子さんも少しずつ話せるようになると思います。
画像出典:http://pixabay.com/
↑「フォロー」するとケアラーの最新情報が届きます♪