関西大学体育会女子ソフトボール部と特別支援学級の生徒達との交流教室

  • 2015/07/08

2015年5月31日に関西大学堺キャンパスで第2回ソフトボール交流会が実施されました。

はじまりは部員の声からだった

image1この交流会は堺市と関西大学との地域連携事業として昨年から実施されています。

参加対象者は、堺市の特別支援学級に在籍する中学生です。今回が2回目で昨年も参加したきょうだいもいました。私が交流会を見学に行って印象的だったのが、とにかく参加している人達が全員楽しんでいることでした。特に、ソフトボール部の選手たちが一番楽しんでいる様子で、それが相乗効果になって参加している中学生たちも楽しんでいました。

小田伸午先生(関西大学人間健康学部教授)が監修して企画された

image2

昨年、部員たちは障がい理解の研修を受けて、どのように子ども達と関わればよいかなどを学び準備をしたそうです。昨年の様子を聞いたところ、ちょっと緊張した気持ちで交流会を開催し、障がいの特性やけがの注意などを気にかけて過ごしましたが、途中からは子ども達と純粋にソフトボールを楽しんだそうです。

当日の交流会では

image3

小田伸午先生(関西大学人間健康学部教授)(注1)が監修し、初めのレクレーションなどを決めています。昨年は少しエキサイトしてしまったので今年はソフトバレーボールを持ち名前を呼んでボールを渡す自己紹介アクティビティーに変更したとのこと。このことでスムーズな自己紹介ができました。

その後、ソフトボールの説明を部員が交代で生徒達に説明しました。いろいろな特性を持っている生徒たちですが、芝生のグランドに座って一生懸命聞いていました。熱中症予防のため10分置きぐらいに水分補給をしていました。

プラスチックのバットでバッティングティーを使ってティーバッティング、止まっているボールにバットを当てるのも最初は難しく、空振りをしています、でも、少しフォームを直してもらうだけで、ボールを打つことができました。ティーバッティングの後はグラブをつけてボールを取る。投げる練習をしました。


注1:小田伸午(関西大学人間健康学部教授)
昭和29年愛知県生まれ。昭和54年に東京大学入学。東京大学大学院、京都大学、京都大学大学院、京都大学高等教育研究開発推進センター教授を経て現在に至る。わが国のスポーツ科学の第一人者。科学と感覚(客観と主観)を総合的に分析することにより、これまで日本のスポーツ界が勘違いしてきた数々の「錯覚」を指摘。科学に感覚を巻き込んだ二軸運動理論の先駆者的存在。小田理論は、日本を代表するスプリンター・朝原選手をはじめ、北京五輪優勝のソフトボール日本代表チーム、ケイリンの銅メダリスト永井清史選手、サッカーの日本代表・前田遼一選手にも影響を与える。
【主な著書】『身体運動における右と左筋出力における運動制御メカニズム』(京都大学学術出版会)『実戦ラグビーの科学』(大修館書店)『運動科学-アスリートのサイエンス-』(丸善出版)『スポーツ選手なら知っておきたい「からだ」のこと』(大修館書店)『野球選手なら知っておきたい「からだ」のこと投球・送球編』(大修館書店)『一流選手の動きはなぜ美しいのかからだの動きを科学する』(角川選書)


特別支援学級生徒の部活動の現実

image4

昨年から参加している子ども達はバッティングフォームも良く、守備もいいので本格的にソフトボール部入って活動したらいい選手になる素質があると、ソフトボール部監督も言っていました。この素質を活かすことができたら本当にいいですが、特別支援学級に在籍している生徒達はチームプレイが必要な部活動にはなかなか参加できない現実があります。直接、生徒に話を聞いてみましたが、中学校では陸上部に所属していて、地域のソフトボールチームに入っていると言っていました。

ルールなんて関係ない、enjoy!

image10

そして、試合を始めました。走る方向だけは、大きな矢印で視覚的援助。

三振とか細かいルールは無視です。当たるまでバッターボックスにいます。とにかく楽しかったらいいんですから、さっきまで、止まったボールにバットを当てるのが難しかった子が、生徒の投げたボールを打ち返すことができるようになりました。

打順が回ってくるまで、テントの日陰で都道府県をつぶやいていた子が、「師匠、打ちにいこうよ」と部員に誘われると、バッターボックスに立ち、ボールを打つ。そして即代走を要求。もちろんこれもOK。一人ひとりがしたいこと、楽しいことをするだけ、それでもいいんです。守備をしている子もうまくグラブで受け、選手が指示をする方向へボールを投げることができました。選手のみなさんは、一人ひとりを誘い、ほめ、応援し、ハイタッチとその場を盛り上げてくれました。あたりまえにいてもいい存在、それをとても感じました。

保護者の方たちも、笑い、応援をして「ここまで参加できると思わなかった」と言いうれしそうな様子でした。

障がいのある子ども達のスポーツ体験

image8

特別支援学級の生徒達に限らず、障がいのある子どもたちは体験することがどうしても限られてしまいます。特にスポーツは「なにかあったら・・」「けがをさせたら」「安全に保障できない」となにかが起きる前に心配し、体験する機会を奪ってしまいます。

もちろん、特性に合わせた配慮の必要なこともわかりますが、とにかくやってみることは必要かと思いました。

関西大学ソフトボール女子部のみなさんは、障がいに対する理解も必要と思い、教授から学びそして、理論ではなくハートで接することで皆が楽しむことができることを実践してくれました。障がいがあるなしに関わらず、人を大切にする気持ちと楽しむ気持ちがあれば、交流会は成功することを証明してくれました。

今後の課題

image9

まだ、まだ色々な問題はあります。この交流会は堺市と関西大学との地域連携事業という立場から、堺市立中学校の特別支援学級の生徒対象となってしまい、堺在住の支援学校の中等部や高等部の生徒は対象外となっていました。せめて、堺在住に対象を広げてほしいと思いました。これは開催した彼女たちの問題ではなく、行政の対応の問題ともいえますが・・・

彼女たちの思い

image12_2

地域連携事業以外に予算をとってもっと広げたいと部員も言っていました。また、回を重ねることで実力の差がでてくることにも対応しなくてはと4回生の部員は言っていました。

ソフトボール部のユニフォームには「釈迦力」(しゃかりき)ということばが縫い付けられています。これは関西大学のチームコンセプトだそうです。

その意味は、

1.夢中になって取り組む。
2.常に高い目標に挑戦する。
3.チームメイトを全力で励ます。1から3の視点を大切にし、感謝の気持ちを持って取り組むという意味があります。

まさに、この交流会も「釈迦力」で障がいのある生徒達とソフトボールを楽しむことができたのでしょう。

参加した彼らや彼女たちの笑顔を見て、歓声を聞いたら、これからも、続けて欲しいと思います。また、他の体育会の部にも参加してもらえたら、もっともっと楽しいことや可能性が出てくると思います。自発的にこの企画を考えた若い力に感謝と今後の期待を感じました。

実技指導者紹介

*吉末和也:関西大学体育会ソフトボール部監督)昭和42年、大阪府堺市生まれ。上宮高等学校ソフトボール部主将、関西大学体育会ソフトボール部副将。ニュージーランドソフトボール留学。大学卒業後は、日本リーグ1部、大阪グローバルに所属し日本リーグ3位、なみはや国体準優勝等の成績を残す。平成3年から関西大学体育会ソフトボール部監督として指導にあたり(全日本大学ソフトボール選手権大会準優勝1回、3位3回、関西リーグ優勝6回)。平成22年に関西大学堺キャンパスで体育会ソフトボールの女子部員の活動を開始し、指導にあたっている。

【その他の役職】

・公益財団法人日本ソフトボール協会ルール委員

・全日本大学ソフトボール連盟理事日本リーグ大阪グローバルサポータークラブ事務局長

 


↑「フォロー」するとケアラーの最新情報が届きます♪
いつもシェアありがとうございます>< 皆さんのシェアが励みになります!

この記事の著者

ふじたあきか

ふじたあきか

障がい者雇用コンサルタント事業。支援学校生徒向け就労体験支援活動や子どもの人権教育ファシリテーターをしています。

この著者の最新の記事

関連記事

ページ上部へ戻る