精神疾患に対して家族が団結できなかった理由

  • 2015/07/03

僕の家族は、父、母、僕と妹の4人です。祖父や祖母はものすごく近所に住んでいたものの、母の精神疾患もあって、あまり仲が良い状態ではなくなりました。なので、頼れるのは親戚だけ。それでも遠慮がちな僕たちは、あまり人に頼るということをしてこなかった気がします。

父の話

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父は、母が病気になるまでは亭主関白だったそうです。幼いころの記憶はほとんどないので、一方的な母の悪口からしか情報がないのですが。母の介護のため、僕が小学校低学年のとき、仕事を一度辞めました。それこそ貯金が底をつきそうになるまで、仕事より介護を優先する父でした。

そして、僕が高校3年生の時に独立、失敗して借金をつくります。お金についてはもちろん、その時に周囲の反対を押し切って自分のやってみたいことをした父を、家族は全員で詰りました。父にとっても、かなり居づらかったのではと思います。

その後、再就職。定年をこえても、警備員としてなんとか働き口がある状態です。そして、夜勤はしない。なぜなら、母が夜不安になってしまうから。父なりにも、精一杯、精神疾患を持つ母に対して誠意ある態度でいるのでした。

母にとっては、なにを今さら!っていう印象のようでした。でも、子どもがいなくなった今となっては、「父のことはすきじゃないけれど、父がいなくなったら生きていけない」と言っています(それを子どもにしか打ち明けられないみたいです。僕は公開しちゃってますけど。笑)。

妹の話

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学年でいうとひとつちがいの妹は、僕とは真逆の性格です。小学生低学年は僕の後ろに隠れているような人見知りが激しい子どもだったはずが、どんどん自由奔放になり、今や自分から前に出て、どんどんと主張をしています。妹もつい最近転職をして、自分のやりたいことができる環境を得たようです。

妹は妹なりに、母に対して抱いていた感情もあるようです。唯一の女同士、男には理解できない部分を補足していました。一緒にトイレに入ることも風呂で身体を洗うこともありました。それなのに、母は妹を認めようとしません。兄である私と比較するばかりです。家事を担うことが多く、意見を言わない兄(=僕)と、自分の意見を持ち、はっきりと言う妹、精神疾患者にとってどちらが好まれるかは想像できると思います。

妹はその事実を当時、どう捉えていて、今どう捉えているのでしょう。

僕の話

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妹が自由な分、父がいない間は家事を率先してやっていました。だからこそ、自分自身の意見を抑えることを憶えてしまった。今や、意見があるのかないのか解らない日がある、精神疾患者です。

僕は妹が羨ましくてしかたなかったです。明るくて、嫌なことを嫌とはっきり言える。本音を言える友達がたくさんいて。後は、年下のメリットを享受していたこと。たとえば、兄と妹の門限は同じでした。兄が伸びれば妹が伸びる。でも妹は、その門限も守らないことが多くありました。

妹と仲良くないのは、お互いに本音で向き合えていないからだと思います。お互いに、人間関係が面倒くさいことを知ってしまっているのではないか?と思います。そして、お互いにコンプレックスも(きっと)持っています。お互いの長所を認めるのではなく、自分の短所ばかり目につく存在…まさに目の上のたんこぶですね。

でも、いい加減に将来のことを考えないといけなくなりました。僕たちが成長するとともに、両親は衰えていきます。近い将来、また介護の問題が出てくることは必至です。

昨年、父が胆石で10日間ほど入院しました。当時大阪で働いていた僕は、会社の休みをフル活用して入院している父と、家にいる母と、双方の介護に回れました。妹は当時前職で忙しくしており、ほとんどそばにいることはできませんでした。

もし、今、同じ状況になったら、どうでしょうか。僕も妹も、両方とも転職したてです。どちらも介護できる状態でなければ、人を雇うほどのお金もありません。親戚に頼ってばかりだと父が嫌がります。母が気にします。自分のふがいなさを勝手に責めて、そして母の精神疾患がさらに悪化します。

家族の団結は難しい

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このように、精神疾患の介護では特に家族の存在が求められる一方で、介護する側にとっても嫌な思いを抱えたりコンプレックスを抱えることになったりします。介護するという目的で団結することはしていても、いざ実際に誰がどう対応するのか?となったら問題が生じてきます。それぞれに大切にしたいものもあれば、家族には会いたくない気分のときだってあります。それをすべて、介護に投じることは、子ども時代にも、若手社会人時代にもできなかった。

唯一、独立失敗後の父は腹を括ったようです。母中心の生活を送っています。それでも、母は、感謝しつつも満足していません。たまに掛かってくる電話はたいてい父の愚痴も出てきます。その他、ネガティブなことを言われることが多いので、自分が不安定の時には怖くて、あえて電話に出ないこともあります。

特に今は、「体調は大丈夫か?」「仕事は大変か?」と聞かれることが苦痛です。本当は大丈夫じゃないし大変なときでも、それを言えば心配して大騒動になるから言えない。だから言わない。そして、それを学んでいると、誰にも言わなくなってしまって…という悪循環に陥るのです。

家族が精神疾患者とうまく付き合っていくコツ

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たぶん精神疾患を持つ者の家族が、精神疾患者とうまく付き合っていくコツは「自分自身のことを大切にするということ。それは、僕の妹がいい例だと思っています。ツラい時でも誰かに話を聞いてもらう、行きたくなければ行かないを押し通す、たとえそれで意見がぶつかったとしても。

そして、家族だから理解しなければならないと思わないこと。家族だって、ただ血がつながっているだけで、他人です。だからこそ、僕は自分の人生を家庭環境のせいにしたくなくて、ここまでやってきたんだろうと思っています。そして、今はその環境を理由にした精神疾患者2号になっていますが、このネガティブループから抜けだして、自分自身の幸せとは何か?について考えて、それを掴もうと思います。

そして、自分が満ち足りた時、本当に優しさをもって精神疾患を持つ母と接することができるのだと感じます。

画像出典:http://pixabay.com/


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この記事の著者

やしゆう

やしゆう

1986年生まれ。5歳で親が自律神経失調症になり、13年間親の病気を中心とした生活を送る。18歳で独り暮らし、大学へ通いつつ介護の代わりに自らの生活費を稼ぐ。就職するも、25歳で自分自身もうつ病と診断され、少しだけ親の気持ちが解りだした。現在通院加療中だが2015年度中に治すことを決意。

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