【インタビュー記事】子ども達の自由を奪ってきたのは、私たち親、家族、社会かもしれない。

  • 2015/06/05

特定非営利活動法人コーナスの生活介護型通所施設アトリエコーナス。(設立1993年)
私が初めてこの団体を知ったのは、2年前の「エイブル・アート近畿2013 ひと・アート・まち」展覧会で作品に出会った時だった。世界的に評価されている作品に心をうばわれた。

町屋造りの通所施設

image1いつか、この施設に行きたい。アーティストのみなさんに会いたいと思い続け、やっと訪問する機会が訪れた。
あべのハルカスからほど近い閑静な住宅地に施設はあった。古い町屋を改装したアトリエコーナス。施設長の白岩高子さんが笑顔で迎えてくれた。そして、とてもフレンドリーなアーティストさん(利用者)たち、開放的なアトリエ空間、初めて来たのになぜか懐かしい空間。通所施設とは思えない町屋造りに改装され、昔のままのようで計算された設計になっていた。

地域との共生

image3写真:手書きで一点物の紙袋とハンドメイドクッキー
そして、地域の人たちとの共生もデザインされている。近所のおばあちゃん、小さな子ども連れのお母さんがコーナスで販売されているハンドメイドのクッキーを買いに寄る、利用者さんがいる作業の様子が見える。地域の人が利用者さん達を一人一人認識することができる。そして、知っている人になる。地域にありのままの姿で存在している人たちの一員がコーナスにいる人達も一緒。あたりまえにいてもいい存在となる。そのためにだれでも、見学自由な施設にした。

以前はコロニーといわれる場所に隔離された環境で障害のある人達は過ごしていた。それを今は地域に戻し共生するという制度に変わってきた。しかし、実際は地域の閉鎖的な施設へ送迎車での移動というのも多い。同じ地域にいるけど別世界という環境である。知らないことは恐れにつながるという。障害のある人、特に知的障害や精神障害のある人がどういう人達なのかあまり知らないから勝手に怖いと思い=排除、の思考になりがちな人が多いことが悲しいところである。

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コーナスは地域とともに過ごすために、周辺地域の清掃をするなど、地域の人たちに彼ら彼女らの存在を理解してもらうように活動をしている。日中は静かすぎるほど静かな住宅地。「大声を出すこともあるので気を使いますけどね」と白岩さんは笑っている。この環境、地域との関係性が育まれるまでにどれほどの苦労があったのか、それを感じさせないキャラ、なんでも楽しくアクティブ・ポジティブ思考の白岩さん、彼女に会った瞬間から旧知の友のような感覚になるような魅力的な人だ。

彼女はこのアトリエコーナスを設立するにあたって、空堀商店街再生の設計にかかわる六波羅真建築研究室に町屋改装ができるかどうかを尋ねたそうだ、建物自体には問題はないと言われ設計を依頼した。資金調達も一緒に活動していた保護者や協力者にも、あとから考えるとかなり強引だったかもと笑っていたが、協力してもらったのである。「このような建物にどれだけの税金をつぎ込んだんだ!」言う人もいるそうだが、税金など一切使わず、みなで力を合わせ、資金調達をして彼女の信頼関係で作り上げた施設である

本来持っている個性や才能

アトリエコーナスは、前記述の「世界的に評価されている作品」から、世界的なアーティストがいる施設=才能のある人達が来て活動をしているところと思う方もいるかもしれないが、地域の生活介護型通所施設である。ここに来て才能を開花した人達である。

白岩さんは、障害のある子どもを持っている母親でもあり、同じ環境の保護者たちと力をあわせ21年間、彼ら彼女らの本来持っている個性や感性を発揮できる環境を作り上げた。「障害を持っている子どもに対して、愛情という名のもとに子ども達の自由を奪ってきたのは、私たち親、家族、社会です」と言っていた。過激な表現で言えば、一番の差別者は一番身近にいる人だともいえる。「あの子には無理。できないわ」と言ってしまって選択肢を狭めてしまうことがよくある。

実は、障害のある人たちを支援している人が一番陥りやすいことが、善意や好意や正義や愛を押し付けてしまい、その人の自己決定権を奪う人権侵害をしていることに気づかないことである。悪意がない分根深いものになる。それに気づき行動した白岩さん。「『彼らにできるわけがない』と私たちはつねに彼らの行動・表現・選択を制限してきました。だからアートによって今、生きる自由、生きる力を取り戻している」と白岩さんは言っていた。そして、白岩さんはまだまだ先を見ているようだ。近い未来にすごいことをしてくれるだろう。次はどのような進化があるか見逃せない。

アトリエコーナスの魅力的な空間

開放的な入口

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白岩さんやアトリエコーナスのみんながお気にいりの中庭

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アトリエの二階

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和なのに赤いチェアがアクセントでよく似合う

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床の間には、西岡さんの作品が飾られている

アトリエ

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2軒の長屋が改築されて2か所のアトリエに、運動不足解消にフィットネスの場にもなる。

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アーティストの大川さん。今日は日直でお客様にお茶とお菓子を持っていく係だ。

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自閉傾向のあるアーティストには、空間が遮られることによって落ち着いて創作活動ができるように工夫されている。ここは、押入れを改造されたもの。
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昭和初期のピアノとカムダウン空間

重度の自閉症の人達が利用しているが、構造化をあまりしていない。不便にうまく慣れていくのが、コーナスマジックかもしれない。団体の詳細はやアーティストについての記事や作品については出版物があるのでHPなどを見ていただきたい。

特定非営利活動法人コーナス
http://www.corners-net.com/index.html

出版物
THE CORNERSTONE  Authored by PR-y
Photo by 田上博敏


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この記事の著者

ふじたあきか

ふじたあきか

障がい者雇用コンサルタント事業。支援学校生徒向け就労体験支援活動や子どもの人権教育ファシリテーターをしています。

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